自動運転の安全走行の強化に向けた高精度地図データと熟練運転手の
判断情報を統合可能にするフレームワークを新たに構築
~ 研究成果が学術雑誌に掲載されました ~
国立大学法人九州工業大学大学院生命体工学研究科の我妻広明教授が研究代表者を務める、アイサンテクノロジー株式会社(代表取締役社長:加藤 淳、以下:アイサンテクノロジー)と共同研究グループは、自動運転の安全走行の強化に向けて、高精度地図データと熟練運転手の知識?判断情報を統合可能にするフレームワークを新たに構築しました。
ポイント
- 事実上の業界標準である自動運転ソフトウェアAutowareでは走行レーンを組み込んだ自動運転用地図が不可欠
- アイサンテクノロジーでは独自技術により自動運転用高精度地図データ(走行レーン内蔵?Lanelet2規格)の生成技術を保有
- 九州工業大学は西鉄バス運転手の運転中の視線?動作を計測し、バス走行中に周辺環境情報(道路上位置、周辺車両動作、歩行者等)に合わせてどのような判断をしているかの暗黙知をデータ化(オントロジー技術)を可能にした
- 本成果では、それらの基盤技術の統合を行い、熟練バス運転手の暗黙知を自動運転用高精度地図に組み込み可能とする技術を共同開発
今回の提案により、走行レーンを組み込んだ自動運転用地図と論理記述(オントロジー)データを統合し、静的道路要素と交通規則の意味的表現から、複雑な運転シナリオが分析できるようになります。
このフレームワークは、熟練バスドライバーの暗黙知から得られた知見によって、自動運転時における安全性を高めるだけでなく、スケーラビリティ、精度、安全性を向上させ、より効果的なシミュレーションをサポートします。以下の図は、西鉄バス研修センターで行った計測実験の一例です。歩行者の飛び出し等を模擬し、熟練バス運転手の判断を視線計測(図1)、外界の歩行者(図2)を計測して照合することで暗黙知のデータ化を実現しています。一般路上の走行中でも同等の計測実験を行っています。
本研究成果は、今後より安全な自動運転の社会実装を実現する技術革新への寄与に期待ができ、学術雑誌「Journal of Robotics, Networking and Artificial Life(論文誌)」(J-STAGEオープンアクセス公開2025年12月13日)に掲載されました。国際会議ICAROB2025での研究成果発表を経て、学術雑誌採録が認められたものです。
■ 用語解説
*1 Lanelet2:
Lanelet2規格は、OpenStreetMap(OSM)形式を拡張し、XML形式(.osm)で記述される、ドイツ?ミュンヘン工科大学(TUM)を中心に提案された、現在では自動運転分野における事実上の業界標準となっている走行レーンを組み込んだ地図規格。
*2 暗黙知:
人が経験や直感によって理解しているが、言語や数式などで明確に表現?共有することが難しい知識やノウハウ。
*3 オントロジー技術:
対象領域における概念や用語、それらの関係性を体系的?形式的に定義し、コンピュータが意味を理解?推論できるようにするための知識表現技術。
■論文の詳細情報
| タイトル | “Integrating OpenStreetMap and Lanelet2 Data Formats for an Ontological Framework Supporting Safe Autonomous Driving(安全な自動運転を支援するオントロジーフレームワークに向けたOpenStreetMapおよびLanelet2データ形式の統合)” |
| 著者名 | Obada Al Aama, Takahiro Koga, Tomoki Taniguchi, Davaanyam Jargal, Junya Oishi, Shigeru Nemoto, Wataru Mizushina, Kazuki Hirao, Hakaru Tamukoh, Hiroaki Wagatsuma |
| 雑 誌 | Journal of Robotics, Networking and Artificial Life |
| D O I | https://doi.org/10.57417/jrnal.11.2_102 |
※ 本研究は、本学とアイサンテクノロジーとの共同研究および公益財団法人北九州産業学術推進機構(FAIS) 足彩app哪个是正规的5年度研究開発プロジェクト支援事業 次世代産業イノベーション創出事業「バス事業者熟練運転手の暗黙知を組み込み可能にする論理知識型AIを活用した自動運転バス事業化に向けた革新的危険情報検知システムの開発」(/whats-new/press/entry-10114.html)の助成を受けたものです。また、計測実験は、西日本鉄道株式会社 自動車事業本部?技術部、同事業本部西鉄バス研修センター、西鉄観光バス株式会社らの全面的な協力により実現しました。
【研究内容に関するお問い合わせ】
国立大学法人九州工業大学大学院生命体工学研究科
教授 我妻 広明
TEL:050-1738-0169
E-mail:waga*brain.kyutech.ac.jp
【報道対応に関する問い合わせ】
国立大学法人九州工業大学管理本部総務課広報係
E-mail: pr-kouhou*jimu.kyutech.ac.jp
TEL: 093-884-3007
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